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立ち上がってから改めて気付いたことだが、ヴァンが眠っていた箱は棺桶のようだった。
どうりで見覚えのあるはずである。
そして、その身体には白いローブのようなものを身につけている。
――いわゆる死に装束ってやつかいの…。
そんなことを考えながら完全に立ち上がった時、懐が妙に重いことに気がついた。
「んん?」
奇妙に思い、開いた懐に手を入れてみると、鉄のひんやりとした感覚が手に伝わった。
――この感覚…!
それは彼が死の直前まで共に過ごしたもの、手に伝わる懐かしい感覚で懐から出さずともヴァンには解った。
「マリアか!」
「マリア?」
不意に出た女性の名前にジェイドがオウム返しに聞き返す。
不思議そうな顔をするジェイドを見て、ヴァンはゆっくりと懐からそれを引き出した。
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