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「その頃わしは小さな島国の王子をしておった。世界は戦争の真っ只中での……わしの国からもたくさんの被害者が出た。そりゃあ酷いもんじゃった……。」
「一時期ここ『天界』に大量の魂が送られてきた時期がある。おそらくその頃だろうな。」
淡々と言い放つジェイドに、苦笑を浮かべながらもヴァンは話を続けた。
「マリアは当時の拳銃としては古い型での。城の倉庫で埃をかぶっておったんじゃ。射程距離も装填数も当時の最新の拳銃に比べると、大分劣っていたが、わしは妙にその拳銃に惹かれての。気がつけば部屋まで持って帰っておった。」
「その拳銃に……惹かれた?
「あぁ……なんとなくじゃがな。」
ジェイドは相変わらず難しそうな顔をして顎に手を当てる。
憂いを帯びた瞳で、ヴァンは懐かしそうに銃身を撫でた。
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