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「その次の日じゃったよ……。この銃で……わしは父を撃った……。」
「父を……!?」
驚愕するジェイドに、ヴァンは苦笑いを浮かべたまま続けた。
「かねてより考えてはおった。父である国王グランの気弱な態度のせいで、国民が苦しめられている。父を消さねば、この国に安寧は訪れぬ。じゃが、後一歩父を討つ勇気が出なんだのだ。わしは人を殺したことはおろか、拳銃を撃ったことすら無かったのじゃからな。」
ヴァンはそこで一度言葉を切った。
ジェイドも黙ってヴァンの独白に耳を傾ける。
「そんな時この銃を見つけ、部屋に持ち帰った翌日……わしの指は恐ろしいほど冷淡に引き金を引いておったよ……。その銃弾は寸分違わず見事に父の心臓を貫いておった……。まるで銃に導かれるかのように……。」
ジェイドは無言でヴァンの抱えた拳銃を見た。
マリアと呼ばれる拳銃は、真っ白な空間の中で、ただ黙って漆黒の光を放ち続けている。
「……それでマリアというのは?」
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