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「マリアという名は父を撃つ前日にわしがつけた名じゃ。どうせ死ぬなら美しい女性に殺された方がせめてもの救いじゃろう?その意味でわしはこのハートマークと『Maria』のロゴを刻印したんじゃ。」
「名は体を表すとは言うからな……。その拳銃が美しいとは思えんが。」
「あくまでわしの美学じゃ。話を続けるぞ。」
そう言ってヴァンは棺桶の縁に座り直した。
「その後わし自らもたくさんの戦場に参戦したんじゃが、その時使った銃もこのマリアじゃ。何故だがこの銃じゃないと駄目な気がしたのじゃ。結果、わしはかすり傷1つ負うことなく、戦争を終結させることに成功したのじゃ。」
「かすり傷すら負わなかっただと……。お前はそんなに武勇が達者なのか?」
問いかけるジェイドに、ヴァンは何故か困ったように腕を組んだ。
「拳銃を撃ったことすら無かったんじゃ。そんなはずがなかろうが。あの時はもう無我夢中でな……気がついたら死体の山の上に立っておった……。不思議なもんじゃ。」
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