~謁見~

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「な……なんじゃあぁこりやああぁぁ!!」 問答無用で放り込まれた扉の先で、ヴァンは再び絶叫した。 「やかましい。いちいち驚くな。行くぞ。」 呼びかけるジェイドの言葉に、ヴァンは開いた口が塞がらないといった様子で呆然と立ち尽くしている。 それも無理ないだろう。 今彼の眼前にあるものを見て、驚かない人間などまずいないはずである。 そこにあるものは、生前ヴァンが暮らしていた城の10倍……いや20倍はあろうかというほどの巨大な城。 城というよりは、むしろ神殿に近いだろう。 さらに驚くべきはその城から出入りする人々の群れだった。 皆各々背中に翼を生やし、頭上に小さな輪が浮かんでいることから、彼らがジェイドと同じ天使だということは理解できる。 だが問題はそこではない。 明らかに人間では無い外見をしたものが、彼の眼前でせわしなく動いているのだ。 それも一人や二人ではなく、さらにはその種類も多種多様だった。 瞳が一つしかない者、小さな山のような巨大な人間、腕だけが異様に長い者――だがそれらはまだ人間に近い方である。 額から角を生やし、体色が緑に変色したもの、両腕が三本ずつ生えたもの、さらにはもはや人間とは似ても似つかない外見をしたものまでいる。 輝くような白をたたえたその城は、まるであざ笑うかのように小さなヴァンを見下ろしていた。
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