Heaven

ﾌﾟﾛﾛｰｸﾞ

それから50年後――
初代国王ヴァン・ホークは71歳になっていたが、変わらず国王を務めていた。

彼の治める世界国家は大きな争いも無く、泰平の世が続いていたが、彼自身にはある悩みがあった。

(私は欲しいものなら何でも手に入れることができる。金も、女も、地位も、名誉も…。だが、今の私にはどうやっても手に入れられないものが存在する。私は全てを手に入れたいのだ。)

裕福であるが故の悩み。
一般人には到底理解できない悩みであるが、彼はその翌年この悩みを解消することに成功する。

自らの銃で己の命を絶つことによって。

彼が唯一手に入れることの叶わなかったもの――
それは『死』だったのだ。

かくして、享年72歳で英雄ヴァン・ホークはその生命の幕を閉じた。

これはその幕の裏での物語――