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健介は溜息をついた。なんで俺はこんなことしてるんだろう、と。野球をやってるわけでもないし、そもそもスポーツすらやってない。なのに、走る、走る。
最初は遊びだったのになぁ。
「菜月の馬鹿が張り切るから!」
愚痴を零しながら、未だ止まる気配のないボールを追い掛ける。ボールは空き地を抜け、道路の方に飛び出していってしまった。
マジスカ! と内心で叫び、なおも健介は追う。あれはキングオブガールである菜月の私物だ。無くしたら、
『死刑だぞ、こら』
「死ねるかぁぁぁぁぁッッ!」
それを現実に変えてしまえる少女であるから、健介は必死に走る。走る。走って、
「うぉっ!」
「きゃんっ!」
塀の角から現れた人影と、激突した。
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