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「いってぇ……」
つぶやくも、相手の方が重傷のようだ。健介はまだ立てているからいいが、相手は強く腰を打ち付けたようである。そのうえ、持っている壷のようなものには亀裂が入っていた。
まずくね? 健介は一気に体の熱が冷めていくのを感じた。噂の悪徳商法じゃね? これでこの壷は百万です、とか言い出すんじゃね?
ちなみに、ボールは見失った。死刑確定である。
「いたいなぁー」
それは少女だった。白絹のような髪に、白眼。……ん? 白色ばっか? 人間ではありえない存在に、健介は目を白黒させる。
「あ゛」
呆然と少女の容姿に様々な思いを交錯させていると、少女はあることに気付き、
「ああああああーーーーッ!!」
叫んだ。
耳がいてぇ、と健介は耳を塞ぐ。そんな金切り声は数秒で止んだが、少女には別に異変が訪れていた。
「わ、割れてる……」
少女の目からは、大粒の涙が零れ落ちたのである。
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