大罪と偶然の交錯

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  涙の雫を撒き散らし、そんなことを言う。健介は真剣なその眼差しを受け、悟った。 (ああ、この子、電波か) ともすれば悪徳商法よりも厄介な相手かもしれない。なんせこういう相手には日本語が通じない。言語的意味ではなく、意味的意味で、である。 「はは、わかった。また後でね」 ここは相手を逆なでしない程度にあしらっておくのが、ベスト。余計に突っ掛かったり介入すれば、酷いことになる、と思ったのだが、 「信じてないでしょ?」 図星。 「じゃあ正直言うわよ。あなたが壊したこの壷には、人間としての大罪の七つを封印していたの。なのに、あなたのせいで、壊れちゃいました。さて、やばい」 「はぁ……」 「断っておくけど、あんたに拒否権はないわよ」 拒否権もなにも。 理解してないんだから、どうしようもない。
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