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「まあ……いいわ。恐らく一番近くにいたあなたの記憶を媒体にしたと思うから……。明日にはあなたから私に解決策を求めてくるでしょう」
少女はなおも電波びんびんであった。健介の顔が歪むのも無理はない。
だがしかし。少女はつぶやくとそれで満足したらしく、頷き、歩き去ってしまった。割れた壷を抱えたまんま。
「な、なんだったんだよ」
「確かに意味わかんねーやつだったな」
ぎょっ。声の方を振り返ると、そこにはニコニコと屈託ない笑顔を浮かべる菜月。右手は反対にバットをぶんぶん振り回している。
「で、ボールは?」
「は、ははは」
もはや笑うしかない。最凶の幼なじみを持ってしまったことをひたすらに呪うしかない。
夕方。
健介は腫れた頬でもって帰宅に成功した。三途の川はもう見たくない、と彼は語る。
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