大罪と偶然の交錯

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  「桜がどうかしたの?」 だとしたら激しく不安である。桜のピンチは自分のピンチの百倍の優先度を誇る。頼もしき兄として、迅速に処理せねば。健介は唸る。 「なんか様子が変なのよ。いつも素直だったのに、つんつんしちゃって。変なこと教えてないでしょーね。ほら、巷で流行ってる。つ、ツンドラってやつ」 「ツンデレだよ。それじゃ地理の問題になっちまうだろ」 溜め息。 色々と吐き出すと、健介は立ち上がった。 「よろしくね」という母親の応援を胸を刻み、妹の部屋へと駆け上がった。 「何? 入るならノックしてよ」 その愛情のかけらもない絶対零度の言葉に、健介はノックアウトされた。
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