森の中へ……

5/5
前へ
/10ページ
次へ
「晋也?居たら返事をしてくれ!」 流音は、辺りを見回し、友人の名前を叫びながら歩く。 しかし、それに対する返事は無い。 流音の叫び声が、虚しく響いて消えるだけだった。 (……、晋也、一体何処に居るんだよ……) 孤独の中、唯歩き続ける流音は、晋也の事だけを考えていた。 ……、否、晋也の事だけしか考えられなかったのだ。 一人で謎に満ちたこの森に居るのは危険過ぎる。 これは、流音にも晋也にも言える事。 故に流音は、一刻も早く合流し、この森から出ようと考えていた。と、その時、視界に黒い何かが飛び込んで来た。 見ると、何匹かのコウモリが、キーキーと、耳が痛くなる程煩い鳴き声を上げながら、流音の周りを飛び回っていたのだ。 「う、うわぁぁっ!?」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加