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商店街を抜け、森に続く一本道を、二人は黙々と歩き続ける。
森に待ち受ける物は一体何なのか、噂は本当なのだろうか、と、各々の頭の中で考えながら歩いていた為だった。
そんな沈黙が続く中、辺りが段々と暗くなって来るのに気が付いた。
そして、少し遠く離れた前方に、沢山の木々が生い茂る、不気味な森へと続く入口が見えて来た。
「あれが入口か……」沈黙を破り、晋也が驚いた様に森への入口を見ながら言った。
彼も流音も、緊張の所為で、身体が震えていた。
人は、未知なる大きな物を前にすると、必然的な恐怖感や緊張感を覚える。
それが当にこの状態なのだろう。
「……、本当に行くのかい?」
震えた声で流音が言う。
それに対して晋也は、数秒遅れて、同じく震えた声で答えた。
「此処まで来て今更戻るかよ。行くぞ」
二人は、入口に向かってゆっくりと歩いて行く。
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