誘拐は突然に…

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   つい先程まで、吸血鬼さんの腹に刺さっていた包丁を借りると、その包丁をそのまま僕は自分の右手の掌に突き刺した…血ぐらいは出るよな…。 「人間は出来ないぞ、貴様は映画とか見ると影響され易いタイプか? それに私が食べる前から血を無くして、味気無い奴には成らないでくれよ」  大丈夫・・・人間の体はそんなに脆くない。僕は右手に突き刺した包丁を引き抜くと血がゴボッと出たのだが直ぐに止まった、ていうか治った。 「ギャアーー!! 人間の癖に回復してる!?」  吸血鬼さんは何を驚いてるのか、腰を抜かした様にへなへなとその場に座り込んだ。 自分は出来る癖に他人が出来たら、驚くって失礼な奴だなぁ・・・ 「あっ・・・畳み、血で汚してすみません。」 「き、貴様・・・本当に人間か!? 人間の皮被った化け物だろ!」  いや・・・あんたが化け物だろうが。
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