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「さて。全員が聞いてる状態になったし、話を再開させるぜ?」
再び教壇に立ち、全員に目を配る裕太。
無言の同意を受け、話を再開させた。
「実は、兼ねてから決まってなかった卒業旅行の事なんだ」
皆が成る程といった顔を浮かべる。
確かに旅行先が決まっていないクラスは3-Aだけだった為、早急に決めなければいけなかった。
(裕太達の高校は、クラス毎に旅行先を決め学校に提案。許可されれば学校から旅行費が支給されるという形式になっている)
「流石に早く決めないとマズいから、俺の独断で決めさせて貰った」
その言葉に、クラス全員がブーイングする。
「勝手に決めんな!!」
「お前のセンスは信用出来ない」
「マジ最悪なんだけどぉ」
「………眠い」
それぞれが好きな事を言い、教室は騒がしくなっている。
「何を言っても遅い。だって、俺が決めた行き先で校長に許可貰っちゃったもん」
更に騒がしくなる教室。
そんな中、一人の女子が言葉を発した。
「何処に行くの?」
彼女の名は平泉奈月(ヒライズミ ナツキ)。
栗色のショートカットで、整った顔立ちをしている。
「んー、まあ簡単に言えば登山かな?」
「はぁああああ!!??」
これには智久も含めた全員が絶句した。
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