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「ねぇ…、これって血…だよね?」
美沙が壁に飛び散っている、赤黒い跡を凝視しながら尋ねた。
「…マジかよ」
獅童が跡をなぞると、その赤黒い液体が指に付着した。
「あまり時間が経ってない証拠だな…。急がないとヤバいかもしれない…」
良樹が焦りを隠せない顔で言う。
「でも何処にもいないみたいだ…。もしかしたら地下に…」
裕太は未だに口を開いている床の穴を見つめた。
「確かにな…」
獅童も同意し、全員は一度穴の周りに集合した。
「やっぱり地下の可能性が高い。また数人で行くしかない」
智久が穴を覗きながら言う。
出来れば行きたくない。百合が亡くなってしまった場所だ…。
決して気分が良い筈はない。
「なら俺と獅童で行ってくる。智久と裕太は彼女達を守っててくれ」
良樹が進んで地下へ行くことを引き受ける。
獅童も納得しているようだ。
「前回はお前達に任せちまったからな。今回は俺達に任せろ」
「わかった。気を付けてくれ」
智久は頷き、一同は三階へと向かった。
――――
「獅童くん気を付けてね?良樹くんも無理しないで…」
静香は二人の安全を願うように手を合わせた。
「ああ、行ってくる。こっちは任せたぞ」
そう言って、二人は螺旋階段を降りていった。
「さて。俺達はもう一度、建物内を調べてみよう」
智久が言うと、
「じゃあ一回、あの部屋に戻らないか?可能性は低いけど敬一が戻って来てるかもしれないし…」
裕太が提案する。
少し考える素振りをした智久だったが、その案を受け入れた。
「じゃあ行きましょ」
奈月の言葉で一同は部屋へ戻った。
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