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真っ白…いや、夜だから黒のなかにちらほらと白が入り混じっているだろうか。
雪が風に乗り強く僕の身体を冷たく叩く。
そんな寒い日、僕は待ち合わせの為に街の時計台の下で待っていた。
こんなことなら手袋位持って来るんだった…
誰ともない文句を静かに呟きながらマフラーを口元に上げ、冷たい手を着ているコートのポケットの中に入れ僅かながら寒さに抵抗をしてみる。
それにしても辺りを見れば足早に歩き去る人しかいない。
いくら街で人気の待ち合わせスポットとはいえこんな寒い日、その上飛ばされそうな位に風が強く、寒い日に風よけになる建物も時計台以外無いような場所で待ち合わせをする酔狂な者は自分以外にはいないようだ。
時間は夜7時を過ぎている。
恐らくこんな寒い日は皆早々に帰路につき家で暖まろうとするのが人として普通の事なのかもしれない。
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