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だが、今由は違った。嘗められてならんと一生懸命上からものをいうそいつらとは違って、今由は挨拶から始めた。
そして、Yシャツのまま、仕事を手伝う姿は、口うるさく、融通が聞かない職人達にも珍しかったらしい。それに彼は、要領も人使いも抜群に上手かった。自分の意見をガンとして変えない親父たちに時として、説得する。
それで一年もしないうちに彼は、現場作業員と打ち解けた。
彼がいる会社の施工を依頼されることが多いため美衣は頻繁に彼にあうことになった。
「騙しやがったな暇人め!」
「……美衣ちゃん、自分のやってる仕事でしょう?僕は暇人じゃないですよ。大体この現場の進度も若干遅れ気味だし……ねふぅ……これじゃあクリスマスは、仕事かなぁ……」
「あ?なに?つーか忙しいの。冷やかしなら帰れよ」
ぶつぶつと言い出した今由を端に痛くなってきたので、鉄筋を運ぶ。
「美衣ちゃん来週の木曜か金曜暇?」
書類を開きながらついて来た今由がそう切り出した。
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