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「差し入れっていったでしょう?もぅ……めんどい……ちょっときて」
いきなり今由は美衣の腕を引っ張る。
その向かう先は、今しがた作業から出てきた建物だ。もちろん、一般の人が入れるような安全な所じゃない。まだ、鉄骨の骨を組んだだけのところもあるのだ。
夜だと明かりを煌々とつけているのに、躓くことがあるぐらいだ。
「おい、どこ行くんだ!?中に入るなら、メットを」
「ああ、もう、今重機動いてないでしょ?」
そりゃ休憩中だからそうだが、そんな問題じゃない。
近くで休憩していた皆が目を白黒させている。
「ちょ、美衣ちゃん借ります。あ、加藤さん、あれよろしく!」
その中の一人に、声をかけた今由は、まだ施工中のビルへと入って行く。
建設用に設えたエレベーターに乗り込む。
「おま、なにやって」
「何やってって、まぁ、ねぇ。いい加減鈍感な美衣ちゃんに、サプライズ?」
「…、」
言い分に納得行かないまま上までついたエレベーターから下りる。
するといきなり照らしてあった照明が消えた。
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