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「よくないけど、嫌なら仕方ないよね。どう?」
どう?
考えたことがなかった。
今由と恋愛だとか考えたことがなかった。だって……出会って、もう六年。憎まれ口を叩くようになって六年だ。
「いやかい?」
普段見せない今由の表情……。
「いや……、じゃない。びっくりした」
「よかった。X'masに誘っても、仕事で払拭されるし、結構周りは気がついてるのに、美衣ちゃんは気がつかないし、もう焦ってた」
それに……と今由は続けた。
「独立しようと思ってる。だから、美衣ちゃんとも喧嘩できなくなるでしょ?よければこれ受け取ってよ」
彼が取り出したのは、指輪だ。
「……何指輪だよ」
「エンゲージ。唾つけとかないと、俺の代わりに現場にいきたいという輩が多いんだ」
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