-孤独-

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桜がヒラヒラと散っていく。 そっと吹く春風はなんだか心地よい。 2人が出会ったあの暑い夏から2年の月日が経った。 悠真と明美は黄色い帽子を被り、黒と赤のランドセルを背負っている。 2人は一週間前小学生になった。 それから毎日通学は必ず一緒に登校している。 今日も手を繋ぎながら通学路を歩いている。 「もうクラスには慣れた?」 「まぁまぁ…明美ちゃんは?」 「私はとっくに慣れたよ!友達もたくさんできたんだよ!咲ちゃんと萌花ちゃんと梓ちゃんと──」 明美は一方的に喋り出した。 明美は活発でとても明るいためクラスにすぐ溶け込んだ。 「…………」 「聞いてるの?朝からだらしないわね…悠くんは男の子なんだからシャキッとしなさい!!」 悠真の背中を平手で思いっ切り叩いた。 「痛っ!!そんなに思いっ切り叩くことないじゃん! 悠真は背中を押さえながら涙目で言った。 「悠真がいけないんでしょ!ほら早く行かないと遅刻しちゃうわよ!」 明美は繋いでいる手を放し走って行った。 (もぉ…小学生になってもちっとも変わってないし…) 悠真は笑みをこぼして明美を追いかけた。
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