結婚

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  「お前は結婚についてどう思う?」 ある日の昼下がり、アフタヌーンティーという名の『お~いお茶』を片手に公園のベンチに腰かけながら、俺はなんとはなしに詩織にそう尋ねた。 「…それは、新手のプロポーズ、のつもりなのかしら?」 「いや、純粋な好奇心からの質問だよ。残念ながらプロポーズをするつもりはまだない」 「…まだ?」 「…まだ」 詩織は意地悪そうにくすりと笑うと、「そうね…」と言って考えるような仕草をした。 「章人君が言う結婚というのは、結婚そのものについて? それとも結婚したあとの生活について?」 「…ああ、なるほど、そこまで考えてなかったな。どっちでも、詩織の好きな方で良い」 「そう、じゃあ……」 詩織はそう言って、俺の顔をじっと見つめ、それから視線を下へ下へと移すと、また顔に視線を戻す。 それを数回繰り返す。 まるで値踏みでもされてるかのようで、彼女の視線が少しくすぐったかった。 「結婚自体は素敵だと思うわね」 「…ほう、それはまた何で?」 「だって世界で一番好きな人と、これからの人生を共有することを誓い合うのよ? まあ政略結婚とかは別なのでしょうけれど、やっぱりそれ自体はとてもロマンチックだし、素敵だと思うわ」 確かにな。まあ所詮は口頭での誓いだし、離婚なんて制度がある以上、本当に人生を最後まで共有するかどうかは怪しいところだが、そういう無粋な事を考えなければ、確かに素敵ではあるよな。  
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