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ぼろぼろの衣服を纏い、 ―といっても今のN国人の殆どはこのような格好だが― 髪は不潔そうに乱れ、半開きで歯の無い口からは涎が垂れていた。
「アリガトウ、オカエシ、オカエシ」 と老婆は懐に手を入れ、茶色い物体を差し出してきた。言いようの無い迫力に思わず受け取ったK氏は次の瞬間、悲鳴を上げた。
「オーマイガッ、なんて事だ!!T氏、助けてくれ!俺の手の平にあるモノはシット…!、人間の糞だぜ!」
T氏も驚いてK氏の手の平を見ると、そこにはまだ湯気の立ったうんこが乗せられていた。
「ヘシッ、ヘシシシシシシッ…、オカエシ、チョコレートオカエシ」
老婆は慌てふためくK氏を見て歯が無い所為か、不気味な笑い声をあげた。
暫くは慌て、呆気に取られていたK氏達だったが状況を理解するにつれ、じわじわと怒りが湧いてきた。K氏は手に乗ったままだったうんこを投げ捨て吠えた。
「狂った糞婆め、殺してやる!」
T氏も続いた。
「そうだな!我々A国人を馬鹿にする猿は許せん!K氏殺せ!」
バスンバスン!!
怒りで我を忘れたK氏は、腰の短銃を抜き老婆の胸に躊躇い無く打ち込んだ。
「ク…ソガミサマ、クソガミサマ…オカエ…」
バスン!
なおも意味不明な呟きを繰り返す老婆の額にとどめの一発が突き刺さった。
「はぁはぁ…。やった。やっちまったぞ!T氏、事故だな?これは事故だ!」
「何を当たり前のことを言っている?さあ帰ろう、K氏。」
興奮の収まらないK氏の肩を抱くようにして、T氏が車に乗り込もうと振り返ると、そこには立ち去ったはずの子供達が大勢立っていた。
「殺した…お前ら糞神様殺した…」
「祟り来る。糞神様の祟り…」
子供達は口々に呟いている。最初に動いたのは、むしろ冷静だったT氏だった。バスンバスン!と立て続けに子供達の額を撃ち抜く。
「T氏、何をする!?そんなことをしたら…」
「きみは相変わらず落ち着きがないなK氏。冷静に考えれば今すべきことは目撃者を消すことだ。」
一瞬戸惑ったK氏だったが、意を決したようにT氏に続いて引き金を引いた。
仲間が撃ち殺されていく中、不思議と子供達は動揺することがなかった。誰一人逃げ出すことすらしない。だが、2人にはこの奇妙な光景に気付く余裕は無い。構わず次々に撃ち続けた。
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