序章

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人は絶望を一度知ってしまうとどうなってしまうのだろうか? ケンの場合、埋めることの出来ない力の差に絶望した。 彼は残る研修期間の間、一度たりとも討伐クエストをやらず、ただひたすらに採取クエストを熟していた。 いくらモガの村の畑が荒らされようとも、いくら村人が頼み込んでも、彼は採取クエストをやり続けた。 彼の目には最初、ハンターになったときの希望や熱意による輝きは失われていた。 そんなことをしていても、時は過ぎ彼の研修期間は終わりを迎えた。 彼のロックラックまでの船出を見送る者は誰もいなかった。 ロックラックに着くと、まず初めにハンターとしての正式登録をした。 これをしなければ、ギルドのハンターとしてクエストの受注や参加することが出来ないのだ。 採取クエストでちまちま稼いで買ったハンター系の防具に身を包んだ彼は誰の目から見ても立派な初心者ハンターである。 彼はロックラックの街をぶらぶらと歩いていた。 道の先々では同業者達が集会場への勧誘をしていた。 集会場と言うのは簡単に説明してしまえばサークルのようなものである。 集会場には何人ものハンターが参加し、その中で気の合う仲間を見つけクエストをやりに行くのである。 また集会場は入るのも自由、作るのも自由である。 出るときはその集会場のルールに従うが… ケンは歩いていると何枚ものチラシを配られた。 やはりそういう広告をするのは何処も大きな集会場である。 参加するなら多人数の所がいいものである。 しかし彼は自分の性格上、多人数はあまり好きではなく、少人数のほうが好きである。 「俺…ハンター向いてないのかなぁ…」 一人でそう呟くと、肩をガクッと落とし、足もしだいに遅くなった。 とぼとぼと歩いていると、ふと見渡すと通りの隅に目がいった。 どこも十数人で勧誘しているのに、そこだけ二人だけで勧誘をしていた。
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