サンタクロースのお仕事

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「いいか、トナカイ。俺たちはなんで、こんなガキたちの願い事なんて叶えてやってるんだ?」 「それは生気っていうのが赤ちゃんとサンタの食料だから。食料がないと赤ちゃんたちは消えちゃうんだよね?」 「そうだ。生者の感情。これが生気の源だ。だから俺たちは願いを叶えてやることで喜びの感情を増幅させ、生気を奪う。死者から生気は奪えない。感情がないからな。どうすんだよ、このガキの願いが叶っても生気をとれないんじゃタダ働きだ」 「あ……ごめんなさい」  トナカイが頭を垂れてサンタクロースに謝る。頭を垂れたせいで角がサンタクロースに刺さるがサンタクロースは気にしない。もう慣れたからだ。 「もういい、わかった。ほら、次いくぞ。まだ回るところはあるんだ。今度はヘマすんなよ」  そう言うとサンタクロースは寝ている少年に背を向け歩き出した。トナカイは少年から降りて、その穏やかな寝顔を見つめた。 「うん。でもサンタ、この子の願いは叶うんだから、この子は幸せだよね」 「ああ、そうだろうよ。はやく天使って野郎が、このガキを連れてってやるといいな。天国ってとこによ」 「……うん!」  トナカイは満面の笑みでうなずくと、サンタクロースの後を追った。サンタクロースも心なしか嬉しそうな表情であった。
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