あとがき

2/4
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
自殺者の数は年々増えている昨今、自殺はもはや他人事ではないし、どこで起きても不思議ではない。 数年前に知らない番号から着信があり、普段なら出ないが、あまりにしつこいから思い切って出てみると、電話の主は若い女だった。 分かる?と聞かれて名前を名乗られても、人並みに遊びもしたし、人並みに恋もして生きてきた大人だから急に言われても思い出せない。 新手の告白か?とか期待をしながら顔はニヤケ、頭の中では様々な顔が浮かんでは消えた。 記憶の糸と彼女の話を辿ると、一人の女性に辿り着いた。 あずさ。 あずさとは、彼女が当時18歳で私は24歳の時に飲み屋で知り合った。私が初対面の彼女に、熱く語った話に彼女は心を打たれたらしく、すぐに打ち解けた。 少し付き合っていた。顔は大して可愛くないし性格も憎たらしい奴。でも憎めない妹みたいな子。今考えても何故あずさはオレが良かったのか分からない程、私を愛してくれた。 しばらく関係は続いたが、自然消滅的に連絡をとらなくなった。 そのあずさが死んだと電話の彼女は言う。 何年も連絡をとっていなかったのに、何故私に連絡が来たのか?聞いてみると、その子自信もあずさと疎遠になっていたが一年程前に偶然再会し、再び連絡をとっていたと言う。 で何故私か? あずさは死ぬ数ヶ月前から私の話を頻繁にしていて、また会いたい、話しがしたいと漏らしていたと言うのだ。 あずさは突然死んだという。遺書もなく、自宅マンションから飛び降りたという。 連絡をくれた彼女も、何故あずさが死んだのか分からないからあちこち連絡している内に私を思い出したという。 しかし私の元にあずさから連絡は無かった。 自殺の真実は未だに分からないが、長く鬱状態で薬を服用していたと聞くので、突発的に自殺してしまったのではないかと推測される。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!