絶望

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『いいから!!絶対だ!!警察呼べば大丈夫だから。おう。明日だ。分かったな?』 『分かりました。』 こんなやり取りが行われたのは12月04日の金曜日の深夜だった。 一時期は彼の舎弟のようにしていた島田が、彼の兄貴分の宮下に命令された。 島田は彼を避けていたので、正直気は進まなかったし、結果が予想出来ていたから嫌だった。 誰も関わろうとしない。家族すら毛嫌いしていた。助けなかった。 12月05日土曜日。島田は昼までに仕事は終わらせて、宮下から頼まれた件を始めようとしていた。 相変わらず一人では何も出来ない島田は、彼の実弟である一也を呼んだ。 一也もまた、彼と連絡がとれずに困っていたので、すぐに島田に合流した。そこに彼と弟の一也を慕っている後輩のタケシも加わった。 三人は彼の自宅アパートへ着いた。古びた二階建てのボロアパートの101号室。チャイムを押すが電気が停められている為か鳴らない。 一也は何度かここを訪れていて、彼とコンタクトを試みたが、不発に終わっていた。 彼が必ず使っている自転車は置いてあるし、磨り硝子の向こうには、彼が愛用していた作業用の防寒ジャンパーがハンガーにかかったままだ。おかしい…。 三人の意見は一致していたので、島田が代表して警察に電話をした。 110番通報を受けた警察は、事情を聴いていたので自転車に乗った巡査が、近くの交番から一人でやってきた。 一通り警官に事情と状況を説明し、不動産屋に合い鍵を頼み、鍵の到着を待った。 程なくして鍵が到着し、警官は扉を開けた。
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