3878人が本棚に入れています
本棚に追加
美堂が目を覚ますと見慣れぬ白い天井が目の前にあった。
「やあ、起きたかい?」
美堂が目を覚ました瞬間、横から男の人の声が聞こえてきた。
美堂が横を見ると白衣をきた40歳ぐらいの男が椅子にかけていた。
「ここは?」
「ここは病院だよ。君は試合中に倒れてこの病院に運ばれてきたんだよ。軽い脳しんとうだから心配ないよ。ただ今はゆっくり休みなさい。」
美堂の質問に優しい声で男は答えた。
覚えている範囲では俺が上田に打たれた所まで……。
多分俺は、そこで倒れたんだろう……。
…………試合は!?試合結果はどうなったんだ!?
思い出した美堂が隣に座る男に迫るように聞く。
すると男は残念そうな表情で美堂の目を見てしゃべり始めた。
「試合は残念ながら4一3で負けましたよ…。いい試合でしたが惜しかったです。………あと美堂くん後で話があるのでまた来ます…。」
男は静かに立ち上がり病室から出て行った。
独りになったと同時に美堂の心には怒りと情けなさの混じったような、なんともいえない思いがこみ上げてきた。
負けた…。俺が打たれたから……、俺が途中で倒れてしまったから負けてしまった……。おれのせい、おれのせい、おれのせい、おれのせい、おれの、おれの、おれ、おれ…………、
美堂は号泣した…。
周囲など気にしないで大声を上げて泣き続けた。
そしてひたすら泣いて叫んだ後美堂は死んだように眠っていた…
最初のコメントを投稿しよう!