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二人が楽しく話していると、
広場のイルミネーションが光始め、
小さな鳥が羽ばたきました。
「みて、光ったよ、キレイだね。」
コゾーの瞳にはイルミネーションが反射しています。
「光った?何が光ったのかしら?」
「何って、イルミネーションだよ。毎年、この広場ではとってもキレイなイルミネーションが用意されるんだ。」
「知らなかったの?」
「イルミネーション、さぞキレイなんだろうなあ。」
「?」
「私は目が見えないの。」
メアリーはつぶやくように話始めた。
コゾーはとても驚いた。
「それはつまり、何も見えないという事?怖くないの?」
「いいえ、怖くないわ。私はただ、人より少しだけ光が当たっていないだけなの。」
「目が見えなくてもあなたがいる事がわかる。目が見えなくても、暖かいココアを飲む事ができる。」
「そっか、なんだかすごいや。ぼくはきっとココアを飲みきれずにこぼしてしまうだろうなぁ。」
コゾーは深く感心した。
「けど一つだけ、わからない事があるの。」
「なんだい。ぼくが教えてあげるよ。」
「ありがとう、じゃあ聞くわね。」
「あおって何かしら?誰に聞いても教えてくれないの。」
「私がこの質問をすると、みんな困ってしまうの。」
「ねえ、あおって何?」
「青?青は色の事だよ、ほら、あのシーソーの色…」
コゾーはハッとした。
メアリーは目が見えないのだ。
目が見えないのに、シーソーの色なんてわかるはずがない。
コゾーはとても困ってしまった。
目が見えない人に、
色を伝えるにはどうしたらいいのだろう。
冬の空は薄暗く、
賑やかだった広場には沈黙が訪れた。
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