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「…ごめんなさい、変な事を聞いて。」
「そんな、こっちこそ答えられなくてごめんね。」
コゾーはとても悔しかった。
目が見えないメアリーに色を説明出来なかった事で、
何だか、自分が目の見えないメアリーを差別しているような気がして、
コゾーは自分に対する無力感を強く感じていた。
メアリーは一呼吸置くと、また話し始めた。
「本当はね、わかっているの。『あお』って『色』なんでしょ?私には見えないし、わからない物なのよね。」
「…」
コゾーは何だか切なくなってしまった。
「パパとママにね、『色』の話をすると、『ごめんね、ごめんね。』って謝られちゃうんだ。」
「だから聞かない事にしてたの、『色』の事を。」
「けどね、コゾーには、何故か話しちゃったんだ。」
「何か安心するんだよね、コゾーと話すと。」
「だから、つい話しちゃったのかな。」
メアリーの声は寒さからか、悲しみからか、少し震えていた。
「なんだか、暗い話になっちゃったね。ごめんなさい。」
「ううん、話してくれてありがとう。…ぼくに出来る事があったら何でも言ってよ、ぼく、意外と頼りになるんだよ。」
コゾーは精一杯明るく振る舞ったが、本当は悔しくて悲しくてしょうがなかった。
「ふふっ、ありがとう。頼りにしてるわ。」
メアリーに笑顔が戻った。
コゾーはその後も、メアリーを元気づけようと一生懸命に話し続けた。
雪はまだ降り続けている。
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