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「おーい、コゾー、そろそろ帰るぞー。」
「あっ、オヤジンが呼んでる。もういかなくちゃ。」
「もう、いっちゃうの?」
「うん、今日はもう帰らなきゃ。」
「そっか、じゃあもうバイバイだね。」
「うん、メアリーはまだ帰らないのかい?」
「私はもう少しここにいるわ。」
「そんなんだ、誰かを待っているの?」
「ううん、そういう訳ではないの。」
「?、じゃあそろそろ帰った方がいいんじゃない?今日は冷えるよ。」
「そうね、もうちょっとしたら帰るわ。でもあともうちょっと…」
「?」
「おーい、コゾー。聞こえないのかー、もう帰るぞー?」
「あっ、はーい。今行くよー。ごめんメアリー、もういかなくちゃ。」
「うん、今日はありがとう。バイバイ。」
「バイバーイ。」
メアリーはコゾーに手を振った。
しっかりとコゾーの方を向いて手を振るメアリーは、
とても目が見えていないという事を感じさせなかった。
コゾーはメアリーに向かって精一杯手を振り返した。
きっとメアリーには見えていないんだろう。
けれど、コゾーは精一杯手を振った。
後ろ歩きでメアリーが見えなくなるまで振り続けた。
メアリーもまた、コゾーがいなくなっても尚、振り続けていた。
柔らかい風に木々は揺れて、
雪達は踊り続ける。
本当にキレイな夜でした。
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