咲き誇る、桜

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  閑静な住宅街を抜けて少し歩くと、僕の前に土手が立ちふさがる。 僕は小さな頃から、何か嫌な事があると何故かここに来てしまうのだ。 どんなに僕や周りが変わったって、この場所だけはずっと変わらない。 緩やかな階段を上がって土手を越えると、開けた場所に出た。 広がる緑の中に、小さな花が何本か咲いていて。 川の水面が夕日でオレンジに染まって、キラキラ光っている。 そして、いつもの僕の特等席。 広がる緑の中に一本だけ、どっしりとそこに在る桜の木。 やっぱり、昔と何も変わらない景色だ。 ……いや、違う。 正確には、変わった点が一つだけ。 いつもは僕しかいない木の下に、誰かいる。  
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