咲き誇る、桜

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  いや、それが僕のものであれば、寧ろ吃驚なのだが。 「いや、違うんです、あの…」 尚も歯切れ悪く言葉を続けようとすると、目の前の彼女が、ゆっくりと振り向いた。 「……あぁ、本当。人違いをしてしまいましたね」 まるで、時間が止まったような感覚。 舞い散る桜の中。 ふわりと柔らかく笑う、その姿。 そのあまりの美しさに、息をするのも忘れて。 まるで彼女は、花みたいだと。 真剣に、そう思った。  
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