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車の窓を開け、見送る彼女と家を取り仕切る桂君に軽く手を上げる。
車窓から消えた二人の姿を思い出して心の中に小さく温かな物が灯るのを感じていた。
いつまでも同じ場所に立ちすくしてなどいられない。
前に進まなければ。
いい加減にね
写真の中で柔らく微笑む愛する妻に話しかける。
「私の愛する人は、何時も私を置き去りにする。
酷いじゃないか
清香…お前も優美ちゃんも」
情けない自分に笑いが込み上げた。
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