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「俺達、いいチームワークだったよな」
もう遅い時間、寮への帰り道にふとそう漏らす。
遠距離担当に近距離担当、一応どちらもこなせる器用貧乏が一名。
悪くない編成だし、何より相性がいいと思う。
「ああ、二人に助けられた」
「そんな事ないわよ。誰が欠けてもダメだったと思う」
「理事長さ……わかってたんじゃないかな。俺と霜月だけじゃ足りないものってあるだろ?」
あの人なら有り得る。
俺達三人の相性がいいと読み切っていても不思議ではない。
この学園をまとめる人はそういう性格。
俺があれこれ言ってもあの人を信頼しているのも理事長の人柄をよく承知しているからだ。
「何にしても疲れた……」
木刀片手にため息こぼす、物騒な女の子がここにいる。
あの木刀……軽いトラウマだ。
「ああ、実戦なんて初めてだよな」
「捕まえられてよかったわね……」
皆精神的に疲れを覚えていた。
俺は結局手当てしてもらった包帯付きの右腕を眺める。
余計なプロセスを加えたり試行錯誤し過ぎたせいだろうが、思わぬ落とし穴だった。
パーツをくっつけていればいいというものじゃないらしい。
ちなみにまた明日、傷の経過を見るために再び保険医に呼ばれている。
……まだ少し痛む。
名誉の負傷と言ってもいいのだろうか。
だがやっぱりこんな事はもうこれっきりにしたい。
魔術を学ぶ以上は仕方ないが、今は平和に学生やってたいんだよ。
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