第3幕

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「俺、不参加」 「なぜだーっ!」 「バレたら殺される」 「お前は霜月が怖いんだろ?」 雄がはぁとため息をつきながら訊ねる。 何だよ、その全知全能の賢者みたいな態度は。 「まぁな」 「のろけやがって……」 「あんなに可愛い彼女が……」 「にゃんにゃん……」 三つのセリフは全員男子達によるもの。 全員が完璧に勘違いをしてる。 「別に付き合ってねぇよ」 「わかった……バレたら我々は全力でお前を守ろう」 風下がぐっと拳を見せ付けてくる。 しかしこいつらほど当てにならないボディーガードも少ない。 「嫌だ。リスクの高いことはやらん」 「おい、恵。俺もさっきの話はお前に手を貸す。だからお前もこいつらに手を貸してやってくれよ」 助けてくれとか言った割には意欲があるみたいだな。 まず雄にそれ言われたら反論なんか出来ないだろ。 実は俺だって少し見たいし。 「作戦は完璧だ、我が同志」 風下教祖の一言に俺はついに折れた。 「やるよ、やりますよ。バレたら守れよ」 首に手をやった俺は深いため息をつく。 当てにはしてないけど、一応確認を取っておいた。 俺、何やってんだろ。 「いつやるんだ?」 「今夜だ、風呂に入る時間帯は既に調べてある。レッツ覗きっ!」 今からでも脱退したい。 そして俺の気持ちなど気にするはずもない男どもは覚悟を決めて頷いた。
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