色の無い世界

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最初にネコが部屋に入って来た時にはどうしようかと考えていたが、校長の不敵な笑みを見ながら、初めてこの学園に入学することを選んで良かったと思えた。 後の話はこの学園の授業や方針などで、隣の担任とも多少話をして打ち解けることが出来た。 なかなか楽しい校長だったので少しばかりこの生活に期待を持つことが出来る。 気付いた時には苦笑いではなく、真からの笑いを見せていた。 学園と授業、全ての説明が終わったのは9時を回った辺り。 今日は通常の生徒は1時間目がホームルーム、その次から授業が始まるからこの時間に終わったのは予定通りらしい。 俺のクラスの担任はここにいるのではと思ったが、きちんと他の先生がホームルームを行ってくれているとか。 ホームルームの途中で俺が教室に入って行くという流れらしいのだが、正直今から緊張している俺はかなり情けないヤツなのだと思う。 「緊張してるのかい?」 時計をチラチラ見ている俺を嘲笑うかのような表情でニヤリと笑うウラン。 無理に強がって腕を組みながらため息をつく。 時計とウランを見比べて時間が流れるのを待った。 「心配することはないさ。初めは誰だってそんなもんだ。それにこんな学校だ、転校生なんて珍しいもんじゃないからね」 ウランはさも当然のように言ったが、俺は今の言葉にかなり励まされた。 「ネオン君、そろそろ時間です。行きましょう」 名前を呼ばれるのに照れくささを感じてしまうのは少しずつ直さないといけないと思う今日この頃。 俺は担任の後ろにぴったりくっ付いて、校長室を後にしようとした。 「ネオン」 初めてウランに名前を呼ばれて、多少感動を覚えながらも俺は振り返った。 「アンタ、男だろう?」 今の言葉の中にはかなりたくさんの意味が含まれていたのが、世間知らずの俺にも理解することが出来た。 「ああ」 力強く頷くと、ウランはニヤリと不敵な笑みを浮かべ、“行っといで”なんて言ってパイプを口にくわえ直した。 そうだ、そんな緊張することなんかない。 自分に言い聞かせるように、心の中でその言葉を繰り返して気持ちを落ち着かせていた。 気付けば目の前には立ちはだかる教室のドアがあったのだった。  
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