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「じゃあ、僕が入ってって言ったら入って来てね」
担任は弱々しい笑顔を浮かべてから、安心させるためなのか肩をポンっと叩いた。
それから俺を1人にして教室に入って行ったから、多少なりとも心細さを感じてしまった。
しばらくして、さっきまでホームルームをしていたであろう見知らぬ先生が教室から出ていき俺とすれ違う。
そわそわしながら緊張を紛らわすために、『ドキドキ』と口に出して見たが、一向に効果を見せることのない心臓は体内で暴れ続ける。
教室から黄色い歓声が上がったので、おそらく担任が転校生が訪れることを伝えたからだろう。
さらには、
『シルバー先生、男の子ですか女の子ですか?』
なんてかん高い声が響いたが、声からして明らかに女子だ。
言ってなかったが、担任はシルバーと言う名前で、多少かっこいいと感じてしまった俺がいた。
このクラスにはもう1人男の子がいたはずなのだが、聞こえるのは高い声ばかりで男の子らしき声がしない。
『珍しく男の子ですよ。しかもけっこうかっこいい』
勝手にハードル上げるなと言い出したいけど、それすらも許されないのは緊張のせいか。
「さ、ネオン君、入って」
最悪とまではいかないが、緊張してるこっちとしてはタイミング悪い。
ゆっくりと扉を開けて、中に入り切る前に再び叫び声に似たそれが俺に向けて降り注ぐ。
ここで耳を塞ぐのは明らかに冒涜のような気がして、そのままシルバーの隣まで歩いた。
隣までたどり着くと、俺は生徒の方に向き直って辺りを見回す。
結果的に言うと、予想通り女子ばかりなのだが、何だか普通と呼べる生徒がいない。
本当にいない。
ある者は異国の色の髪を惜しげも無く披露し、ある者はどう見ても高校一年生を逸脱している。
国籍や種族、年齢もバラバラの子供達の集合が、そこにあった。
聞いてはいたがこれほどとは思わなかった。
制服の生徒がチラホラとしか見れず大体が私服姿だから、制服の自分が逆に浮いて見える。
そしてあっけに取られたのは、何らかの事情を抱えている生徒なのだとは思えないほどの元気の良さ。
やはりそれは見た目に出てくることになっているのだろうか。
だとしたら、外見だけなら俺はかなり普通の方のはずだが、まだ何とも言えないのは情報が少なすぎるためだ。
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