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「ネオン君、自己紹介」
シルバーは相変わらず弱々しく笑うと、俺に目をやってから生徒の方に手を伸ばした。
大きく息を吸い込むと、いつもの調子で言葉を発した。
「ネオンだ。よろしく」
言い終わるのとほぼ同時に何度も聞いた歓声が響いて、教室中が騒ぎはしゃいだ。
だが、良く見ると一部の女子は静かにこちらを凝視しているだけで騒いではいない。
まともな人もいるんだと思い少し安心。
「さて、何か質問ある人は挙手して」
シルバーが勝手に提案してきて、俺への質問タイムが始まる。
しかし、このクラスに早く馴染むためには必要な気がするから、否定せず静かに質問を待った。
まあ待つ暇もないほど、ほとんど生徒が手を天に掲げたから、俺はみんなにバレないように小さくため息をついた。
「はい、じゃあ君から」
初めに差されたのは比較的一般人に近い容姿な女の子で、ポニーテールが妙に特徴的だった。
「はーい、ネオン君は彼女とかいるんですか?」
可愛らしく首を傾げる姿には、俺でも愛くるしいと思えるほどに可愛らしい女の子だった。
だがなぜだろうか、その表情は笑顔にも関わらず、どこか泣きそうにも見えたんだ。
少し見とれてしまっていた自分に気が付いたが、あくまで冷静さを装って答える。
「いや、いないけど」
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