色の無い世界

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もう慣れてしまった歓声により、一時静まっていた教室がまたしても騒がしくなる。 と言うか、最初の質問でこんな難しいことを尋ねられるなんて予想してなかった。 外には出さないが多少動揺する。 次くらいの質問から、 『誕生日は?』とか 『身長と体重は?』とか 『どこに住んでるの?』とか 当たり前な問いに変わったから、安心して答えることが出来てきてほっと一息。 「じゃあ次、君」 「わーい」 次に指名されたのは、明らかに初等部なのではないかと疑う程に幼くて小さな女の子。 やたらニコニコすると、思ってもみない返答に困る問いを投げ掛けて来た。 「この中で彼女にするとしたら誰がいい?」 久しぶりに難しい質問だったために、流石の俺も少し表情に出てしまった。 俺は軽く息をついて、もう一度教室を見回した。 途端に静寂に包まれる教室が、先ほどとのギャップに妙に不気味に思えてならなかった。 質問に答えなければならないけど、ダメだ。 どの娘が可愛いのか、綺麗なのか、美人なのか、全く理解出来ない。 「えっと……保留で」 次の瞬間、教室のほとんどの生徒が『えぇーっ!』っとシンクロして声を上げた。 でも冗談だったのかすぐ次の質問に移る。 少しずつ質問の内容が薄くなり、やがて挙手している人数も減ってきた。 そろそろ終わりかなって思っていた時、クラスで唯一の男子生徒が、レザーグローブを着けた手を上げたのがわかった。 「はい、どうぞ」 「うん、オレの名前は“ラドン”って言うんだ。よろしく」 ラドンは丁寧にそう言ってペコリと頭を下げて、挨拶をしてくる。 そんなに礼儀知らずではなさそうと思っている俺に笑顔を向けてきた。 見た目はどうみても女の子なんじゃないかって思えるほどの容姿で、可愛い男の子だった。 これなら、このクラスで普通に生活してても何の問題もないだろう容姿と性格だ。 「ああ」 俺がぶっきらぼうに返事をすると、彼はまた人懐っこい笑みを浮かべ本題に入った。  
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