色の無い世界

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昨日寮に生活用品を運んだ俺の部屋は、まだ段ボールに眠る道具が数多く積み重なってる。 とても客人を招くことのできる状態ではないんだ。 「ありゃ」 「悪いな、だからまた今度」 今日友達になったとは思えないほどの馴れ馴れしさが逆に心地よい。 彼女にそう告げると、ちょっと寂しそうな顔でシュンっとなってしまった。 だから俺は仕方なくため息をついて、小さい子供を相手にするように、見た目は小さい子供なのだが、優しく頭を撫でてやった。 すると彼女はすぐにまた幸せそうな顔に戻って、ニコニコ笑ってこっちを見上げてきた。 「また明日な」 「それは“また明日会おう”ってこと?それとも“明日なら遊び来ていいよ”ってこと?」 「前者のほうだ」 俺は小さく笑うと、可愛く唸る彼女の頭から手を離してカバンを背負い直した。 テルルも観念したのか、浮遊する体で俺と視線を合わせる位置まで上昇して口を開いた。 「仕方ないなあ、それじゃあ、また明日ね」 輝くような笑顔を浮かべて手を振る彼女に、軽く手を上げて返してやると、俺は背を向けて再び寮へと歩き始めた。 多分テルルも去ったのだろう、しばらく歩いた後に振り替えると、そこに彼女の姿はなかった。 1人になって、特に寂しく感じないのは、やはり病院での生活が体に染み付いているからだろうか。 これが当たり前な人生しか歩んだことがなかったのだ。 当然の結果だろうが、これからはきっともっと明るい生き方が見付けられるはず。  
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