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「ね、小春ちゃんはどう思う?」
「……え?な、何がかな?」
「もー、聞いてなかったの?イチゴカスタードとチョコバナナ、どっちが良いかなぁって」
失敗してしまいました。せっかく千尋ちゃんが私に話しかけてくれていたのに、私ったら……。
「え、えっとね、私はイチゴカスタードが良いかな」
「そっか。あ、じゃあじゃあ小春ちゃんはイチゴカスタードを買って千尋はチョコバナナを買う!そんでもって二人で半分こっ、ね?」
「何が、ね?だ。いつの間に小春がお前に付き合う事になってんだよ」
「えー?だって、小春ちゃんだってクレープ好きだよね?ね?」
千尋ちゃんの言葉に、私は少し笑って頷きます。そうすると千尋ちゃんは嬉しそうにその場で飛び跳ねて、お兄ちゃんは肩を竦めて……でも微笑ましそうな表情で千尋ちゃんを見ていました。
私は、お兄ちゃんと同じくらい千尋ちゃんのことも大好きです。だから、千尋ちゃんがお兄ちゃんの恋人になるならそれは、願ってもない事の筈なんです。
他の、どこの馬の骨とも知れない女に取られるより、ずっと良い。
それなのに。それなのに、もしも私がお兄ちゃんの妹じゃなかったなら……なんて。
そんな事を考えてしまう私は、とても嫌な子です。そんな風に思って手をぎゅっと握った頃には、通い慣れた学校はすぐ目の前でした。
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