―東条 翼―

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朝、目覚ましの音が部屋に鳴り響く。 「ふぁ~……ねむ」 人一人が生活するには十分、事の足りるほどの広さの部屋。 そんな中、1人の男が目覚ましを止め、ベットから上体を起こす。 適度に伸ばされた髪。 寝起きだからとかは関係なく、いつも髪ははねており、パッチリと見開いている目に整った輪郭をしている。 彼の名前は《東条 翼(とうじょう つばさ)》 大阪のアパートに1人暮らししている高校1年生だ。 「さっぶいな……」 アパートはかなり冷えこむため、暖房が設置してあるがどうせすぐに学校に行くのだからとつけない。 腕と腕を摩擦させながらテーブルの方へと歩いていく。 「パンは……っと」 テーブルに置きっぱなしにしていたスティックパンの袋を開け、口にほおばる。 忘れていたように冷蔵庫から牛乳を取り出し、またテーブルに腰をかける。 「リモコン……あった」 床に落ちていたリモコンを拾い、テレビの電源を入れた。
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