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「それで……桜井はなんでゲーセンなんかに?」
先ほどはぐらかされた話を巻き戻す。
「そ……それは……」
恐らく理由なんてないに等しいだろう。
ただゲーセンに寄りたかったから寄っただけ。
だが桜井も自分の学校での印象を崩すわけにもいかないはずだ。
何故話しかけたのか……そんな疑問が翼の頭をよぎった。
「あぁ、わかったから。学校の奴には言わねぇよ」
「……ありがと」
いちいちチクるなんて面倒なことをするわけがない。
「……一緒にゲームするか?」
俯きがちだった桜井が翼の顔を見る。
「……いいの?」
「あ、ああ」
「やった!」
おもちゃを買ってもらえる子供のように元気を取り戻した。
それだけで喜ぶ高校生も珍しい。
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