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黒いカーテンをくぐると、いくつかの机と椅子が、夕焼けで紅く染まっている。
その内のひとつに腰掛ける。
トモが顔を近付け、真剣な表情をする。
「光一…大丈夫か?」
返事をしようとしてトモを見た。すると肩に紅い血がべっとりついている。
俺は頭が混乱し、言葉を失う。
トモが怪我してる。もしかして俺のせい!?いや…多分、俺のせいだ!!
「おい!光一……」
トモが一瞬、視界から消える…じゃなく…アップになりすぎて俺の視力がついていけなかっただけ。それと同時に唇に生暖かい、柔らかい感触。
………え??これって…キス?!いや…でも…トモ……
「嫌がらないんだな。慣れてんのか?」
不機嫌そうな表情を浮かべ、トモが言う。
トモの顔が見る…って事は、やっぱさっきのはキス?!
「…意味……わかんねぇ…」
やっとの思いで声に出した一言。
「お前、女も男もかなり遊んでるって噂あっから」
いや、そういう事じゃなくて、つうかなんだよその噂!!俺はさっきのがファーストキスだっつうの!!つうかありえねぇ!!ファーストキスが親友(♂)なんて!!
「俺は…親友のしかも男の俺にキスするってのが、どうゆう事かって聞いてんだよ!!つうか、俺がいつ、どこで女も男も遊んでんだよ!!いつもお前とつるんでんじゃん!!さっきのがファーストキスだっつうの!!」
勢い余って余分な事まで言ってしまった。
トモはいつもとは違い、優しく微笑み
「だよな。良かった。」
優しく頭を撫でられ、スーっと怒りが消える。
「ずっと光一の事が好きだったんだ。ちゃんと優しくするから」
今までに見たことないトモの優しい笑顔が、夕焼けに染まり、頬を赤らめているように見える。
それにつられ、俺まで顔が赤いような気がする。
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