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いつものように朝を向かえ、ベットから置き、カーテンと窓を開け、んんん!!っと背伸びする。
………ん?晶、まだ寝てんのか?いつもならもうカーテン開けて、着替も終えて、挨拶して……あ、昨日夜中に俺の部屋に来たから……んん??俺、窓閉めて寝たか??
考え込みそうになったが、親の呼ぶ声に慌てて制服に着替、学校に向かう。
「………よぅ」
昨日、晶から好きらしいと聞いて、微妙に照れつつ教室でユミちゃんに声かける。
「……おはよう」
いつもより暗い。
「どした?なんか暗くない?」
聞いた俺をじっと見つめ、ジワジワっと涙を溜めて、ワーっと泣き出した。
クラスの奴がコソコソ話したり冷やかしたりしているが、目の前のユミちゃんにどうしていいかわからず、とりあえずワタワタしてみる。
「晶ちゃんが……昨日、亡くなったって…」
「は??」
寝耳に水を初めて体感した。
「…何……冗談…」
ユミちゃんがそんな冗談言うタイプじゃない事は十分知ってる。
チャイムが鳴り、先生が入って来て、仕方なく席につく。
「皆さんに残念なお知らせがあります。
昨日、このクラスの橘晶さんが、事故で亡くなられました。」
頭が真っ白で上手く考えられない。
晶は、塾の帰り(10時頃)に、道にいた仔猫を助けようとして、車にはねられたらしい。
あいつらしすぎて涙も出ない。
2時に晶が俺を訪ねて来た事は誰にも言ってない。
言うと晶の気持ちを裏切るような気がして。
あいつが死んで、唯一わかった事は、今更遅いが、俺もあいつが好きだったという事。
俺自身、気持ちに気付いてしまった以上、他の誰かと付き合うなんて出来なくて、ユミちゃんとも付き合ってない。
あいつが俺を好きだって言ってくれたのが、どうしても離れない。
あいつなら怒るだろうな。苦笑しつつ、毎年命日に墓参りに行く。
【終】
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