緒の章

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私は物心ついたときから 泣いた事がない だからなんだって訳じゃないけど ただそれだけの事実を何度も 確かめてしまう。 悪い癖だ。 ヤツの勤める会社を張って 3週間。 ヤツの通っていた大学を張って 今日で1週間。 春休み前からの日課だった。 明日からまた学校が始まる。 そろそろ 行動を起こさなければいけない。 大学の向かいのカフェから 適当な人材はいないかと 睨みつけるようにして見る。 何だかんだと通っていたら いつの間にか このカフェの常連になっていた。 ウェイトレスが水を注ぎに来る。 いつもと同じ動作を繰り返す ウェイトレスと私は似ているかもしれない などと思いながら 私はカフェの席を立ち上がり 大学から出てきた 可愛いだけが取り柄であろう 女の子たちに 「ちょっとすいません。」 と 声を掛ける。
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