本当の仲間

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  男たちはまさか 真後ろに敵である 新撰組の組長が居るとは 夢にも思わないだろう 蕎麦を食べ終わり 初めの怒号のまま、再び 叫ぶように話し始めた 「ったく…犬がうるそうて  おちおち安心して  寝てもいられん!」 「まっこと…  目障りな奴らじゃ…!!」 運ばれてきた酒を飲みながら ため息を吐いて言う 徳利を卓に叩きつけ、 唾を飛ばして出てくる言葉は かなり乱暴で、誰かが叫べば それに被せるように また誰かが大声で話す 要は余りの煩さに 頭が痛くなってきた 「う、煩い…」 「我慢しろ…何か情報が  得られるかもしれない…」 湯飲みで熱くなった両手で 耳を塞いでも 要の耳には相変わらず 男たちの荒い言葉が 飛び込んでくる 一方の斉藤は全く 顔色を変えず平然と 話に意識を向けていた それから約四半刻 男たちは散々為にならない、 くだらない話を 大声で怒鳴りあった後、 今度は少し 落ち着いたトーンで 話し始めた  
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