本当の仲間

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  「………!」 煩い男たちを ぼんやり見ていると 四人の中に 浮いた存在があった 二十代半ばだろうか 色が白く、お世辞にも 体が丈夫とは言え無そうな 相貌をしている 他の三人に比べて 随分若く見えるその男は 一人だけ酔っていなかった 体躯とは逆に 蕎麦を食べながらも、 常に周りに 気を張っているように見える (………何者なんだろう…) 「…迷惑な人たちですね。  ……斉藤さん?」 「しっ……あれは西の者だ。  消し切れていない  方言訛りがある…」 「……!」 斉藤は要を チラリと見やってから 湯飲みに目を落とした いくら男たちから 顔は見えないといっても 分かる奴には分かる 何者でもない風に 装わなければならない 要もやっぱりそうか… という気持ちを落ち着かせ 改めて男たちを盗み見た 確かに言われてから聞くと 所々のイントネーションや 語尾が違っている 酔っているせいもあってか 中途半端な標準語が 大音量で飛び交っていた そのお陰で男たちの話は 気を張って盗み聞かなくても 嫌という程に聞こえてくる  
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