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「ねぇ、どんな本読んでるの?」
「………………」
どうやら爽やかスマイルを装備した俺の顔を見て照れてしまったんだろう。首を動かさず視線だけをこちらに向け、すぐさま本の世界へ飛び立ってしまった。
しかし、こんなことで俺は挫けない。さっきの俺には足りない物があったに違いない。
……そうか!俺が余りにも消極的だったのがいけなかったんだ。今の世の中、草食男子という言葉が流行してるし実はもっとガツガツ来て欲しかったんだな。友達作るのは案外難しかったのか。
「どんな本読んでんの?」
さっきより少し軽めに言って強引に読んでいる本を取り上げた。
けれども女の子は微動だにせず、なんだか俺がいじめてるみたいな雰囲気が漂った。
ちょっと本を開いて読んでみた…
《あぁ……与作ぅ…与作ぅ…
もっと…もっと…もっとぉぉぉ!!
灯りの消えた暗くて狭い部屋、2人は生まれたままの姿で交わる。》
……!?
そ、そんなベタな!?間違えたそんなバカな!?
なんだこの官能的な小説は!
ん?
《行くよ…行くよ…武雄…》
まままさか…男×男だと…!!
俺がその衝撃的事実に気づいたのがわかったのか、変えなかったその表情を満面の笑みに変えた。
マズい。やっぱり友達は選ぶべきだ。私はあなたとは違うんです。と伝えなくては。
「わ、私のあなるは血が膿んです!」
しまった!変な噛み方をしてしまった!俺は痔じゃない!
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